③速読術には【本当に】意味がなかったのか? - ディスレクシアと読書速度 - | SP速読学院

速読ブログ

2018.09.14
インストラクターより

③速読術には【本当に】意味がなかったのか? - ディスレクシアと読書速度 -

速読術は意味がなかったか?

 速読記憶術研究家 橘遵(SP速読学院 学院長)

【速読術には意味がなかった?】
SP速読学院の橘遵がこの記事について賛否両論の意見を述べさせていただきます。

3.ディスレクシアと読書速度

この論文を書いたアメリカのウィスコンシン大学の神経科学者マーク・サイデンバーグ氏は
ディスレクシアアルツハイマーの研究者です。
ディスレクシアは失読症とも訳しますが
文字の読み書きや学習に著しい困難をかかえる障害です。

 2011年にオバマ大統領は
「アメリカ合衆国の子ども達の半分以上がReadingについてはBasic Levelにある」と宣べました。
「Poor readers are more likely to drop out of the educational system.」
(読むことが苦手な子どもたちは学校教育から落ちこぼれていく可能性が高い)


サイデンバーグ氏はReading(読み)について
Good Readers、 Successful Readers、 Reading Disabilitiesの子ども達について話をしました。
Readingができない子ども達はディスレクシアの子ども達だと思われます。

「Dyslexia Across Languages」
「Language at the Speed of Sight: How we read, Why so many can’t, and What can be done about it」

等の著書でReadingが困難な人達に対して研究を発表しています。

私が2011年に京都大学の苧阪直行教授の研究室を訪問したときに
ワーキングメモリーのことを中心に約4時間意見交換を行いました。

教授から
「アメリカで10%以上のディスレクシアがいる。社会的に大きな問題になっている。
この問題を解決する方法はないか?」

と意見を求められました。

アメリカは移民によってできた国で
母国語がスペイン語、フランス語、中国語など様々な言語の移民が
英語の読み書きをしなければなりません。

例えば日本語は1文字1語対応で ア は ア としか読みません。
ところが、英語の a はæ、ʌ、a、a: と複数の発音になります。
日本の国語教育では音読授業が徹底して行われていますが、
アメリカでは基本的に音読授業は行われません。
ディスレクシアの子供もたくさんいて、授業がやりにくいのかも知れません。
そしてアメリカのディスレクシアの割合は15~20%に近づいてきています。
ディスレクシアは大きな教育的問題です。

私が思うに、サイデンバーグ氏の論文は
ディスレクシアに特定して述べられている可能性があります。

論文の中でサイデンバーグ氏は読書速度の限界が280words/分であると述べています。
しかし、「速読の真実 -レイナー教授の報告-」から引用すると
"大学生レベルの読者の95%が1分間に200語から400語を読むということがわかっています。"
とレイナー教授は述べており、
サイデンバーグ氏の実験結果と矛盾しています。

SP速読学院で実施している無料体験レッスンでは、
約4分の1の受講生が訓練前の時点の読書速度
日本人の平均速度(分速600文字)の3倍(分速1800文字)を超えています。

私がアメリカのユタ州にあるBYUプロボ校で2ヶ月間夏季授業でスピードリーディングを教えた時も
クラスの全員が訓練後に1000words/分を超えていました。

では、サイデンバーグ氏の論文は
読んだ全ての文字を覚えている限界について述べているのでしょうか?
それも違うと思います。

以前、神奈川大学の斎田教授(速読を40年研究している)のもとでSP速読学院の受講生6人が
読書時の理解と記憶について様々な実験を受けました。
「天声人語」のような、内容が多く読みにくい文章を1回だけ読み、
理解度チェックと、どんな言語が出てきたかを40個位の単語の中から選び出すテストや、
穴埋め問題で単語を思い出して書くというテスト等がありました。

1回読んだだけで完全に内容や語句を覚えていなければ正解できないタイプのテストでした。

それでも、実験を受けた受講生の一人の中村さんは
分速2000文字近い読書速度(日本人平均の3倍以上)でその課題を達成しました。
訓練を積んだ人はその読書速度でも
ほぼ完全に内容を理解し、覚えていることができるということがわかりました。

以上のような経験から
読む速度の限界が280words/分では遅すぎるので
ディスレクシアの人達限定で述べられた論文ではないかと思ったわけです。

次に、1680文字/分(日本語)=280words/分(英語)の計算は明らかに間違っています。
日本人の平均読書速度は500~700文字/分。それに対して、
アメリカ人ネイティブの平均読書速度は250words~300words/分になります。
平均を比べると、約600文字/分(日本語)=280words/分(英語)が正しいと思います。

このような初歩的な計算ミスを専門家のサイデンバーグ氏が行ったとは思えません。
どういうわけかディスレクシアPoor Readersに関する論文が一般人に当てはめられてしまったようです。


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