速読書評『無印良品は、仕組みが9割』
飯田インストラクター書評『無印良品は、仕組みが9割』
松井 忠三(著)
245ページ
「報・連・相」はいらない、18時30分以降は「自分の時間」、知恵は基本的に「他社から借りる」… 他、無印良品の「2000ページのマニュアル」の秘密を公開。38億円赤字からの回復を実現した経営者が語る、シンプルな仕事哲学。
【読書の所要時間】 20分(精読で1回)
赤字38億円から業績をV字回復させた良品計画のトップが書いたビジネス書です。
とにかく仕組みを作りなさい! と連呼されています。
全ての業務における詳細なマニュアル(2,000ページもある!)が業績回復の鍵となっているようです。
読んでみて、個人的に有益だったポイントを二つ挙げます。
【1】マニュアルはボトムアップ方式とトップダウンの組み合わせである。
特に現場の声を漏らさず吸い上げることが重要。
ボトムアップは顧客と接している最前線で働く人達からの情報を拾っていくことですね。トップダウンは現場ではなく組織のトップから指示された情報を浸透させていくことですね。その組み合わせというのは、現場重視といっても現場の声だけ取り上げてしまうと、非効率なものも採用してしまうことになる。なので現場からの情報を漏れなく吸い上げながらトップが精査してマニュアルに反映させるようにしているようです。
【2】マニュアルは現在進行形で更新されていく。
常に改善策を見つけることが日常の習慣となると、仕事に対する意識も高まりますよね。
今挙げた2点の効果として、効率が上がる、仕事が標準化される。誰でも正しく業務が行えるようになる。
ただこのマニュアルはすぐにできるものではなく、著者も目に見えて成果が出るまで5年かかったと言っています。
マニュアル、というと昔マニュアル人間とか言ってネガティブなイメージで使われることもありましたよね。
でもこの本で書かれているマニュアル、というのは非常に重要な役割が果たされていると思います。
それはずばり情報の共有ですね。
例えば、ある社員が非常に有益な情報を持っているとしましょう。つまり仕事ができる人、またそのノウハウを持っている人のことですね。
そういった人達がいなくなるとその情報は失われてしまいます。
そうなるとその都度会社のパフォーマンスが落ちるわけですよね。
間逆のアプローチでパタゴニアとか世界の超がつく人気の会社は超優秀な人だけを採用して、つまりできる人だけでまわしています。
そんな会社に詳細なマニュアルなど必要ではないでしょう。
でも良品計画にしろスターバックスにしろ、多くの普通の人を抱える大きな会社は、クオリティの均一化が重要です。
そしてこの良品計画ではそのマニュアルというものが、ある意味常軌を逸するような細かさで出来ているんです。
著者はこの本を出す理由が、日本が元気になってもらいたいから、と言っています。
実践すれば、間違いなく結果は出るでしょうね。全てに当てはまるわけではないでしょうが、店舗形態、フランチャイズなどのビジネスでは特に有効だと思いました。
(飯田インストラクター 2013年8月)