速読書評 岡本太郎著『自分の中に毒を持て』① | SP速読学院

速読書評 『自分の中に毒を持て』①

大林インストラクター書評『自分の中に毒を持て』

自分の中に毒を持て (青春出版社) 自分の中に毒を持て (青春出版社)

岡本 太郎(著)
218ページ

瞬間瞬間を生きているか。ほんとうの自分を貫いているか。
「才能なんて勝手にしやがれだ」「ダメ人間なら、そのマイナスに賭けてみろ」
今も鋭く問いかける、生涯芸術家岡本太郎からのメッセージ。亡くなる3年前に書き残した文庫本の新装版。

【読書の所要時間】 1時間(精読で1回)

この本はノマドで有名な安藤美冬さんが大学卒業後に就職した出版社を辞める決意をするきっかけになった本としておススメしていました。個人的には「芸術は爆発だ」という発言と太陽の塔ぐらいしか岡本太郎については知りませんでした。さぞかし破天荒な本なのだろうと漠然と思っていましたが、とても読みやすくてビックリしました。
 内容は多岐にわたり自分のモチベーションの上げ方や、イジメ、恋愛などについても書かれています。
 岡本太郎は人生における成功とは、経済的な成功などではなく、自分の夢に対してどれだけ努力したかという点だと考えます。この本を通して岡本は己という存在の絶対性を一貫して説きます。他人と比べてこうだ、世間一般ではこうだなどと自身の考えや価値観を抑え込む必要はなく、自分に正直に生きてもいいのだと。しかしこういった考え方を人生に応用するにはそれなりの危険が伴います。岡本太郎自身も、パリ留学中に自身の方向性を決意し、自身に対して正直に生きる過程で色音痴などとさんざん悪口を言われたようです。それでも彼が他者に迎合しなかったのは、自分を殺したくなかったからでしょう。本の中で岡本は「己を殺せ」といいます。しかしこれは己を生かす術なのです。安全に生きたいと思えばそれなりの結果はあるかも知れないが、真の意味での成功はないと。
 この本を読むと岡本太郎の寛容さと厳しさを同時に知ることが出来ると思います。人の多様性にはかなり寛容です。例えば岡本太郎は自身に対する批判などはどちらかというと喜んで受けるのではないかと感じられるのです。しかし同時に、妄信的な人や自分に正直でない人に対してはあまり好意的ではありません。例えば自分がどう感じるかではなく、社会における岡本の名声などを評価して「すばらしい作品ですね」などという人の言葉をまともに受け止めはしないでしょう。
 本の後半では、「芸術は爆発だ」という発言や太陽の塔についての記述もあります。そして「結婚は人生の墓場だ」という言葉についての記述もあるのですが、これは岡本太郎が「結婚は恋愛の墓場だ」というのを言い換えて作ったのでしょうか。
 読み終えての感想ですが、岡本太郎に対するイメージが完全に変わりました。自分の命を懸けた岡本の作品を見てみたいとも思いましたし、安藤美冬さんが仕事をやめるきっかけになったというのにもかなり共感できました。
 値段もかなり安いので是非読んでみていただきたい一冊です。

(大林インストラクター 2013年1月)


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