速読ブックレビュー・書評
おおがみインストラクター書評『野心のすすめ』
林 真理子 (著)
196ページ
四十数戦全敗に終わった就職試験、お金、コネ、資格、美貌…
ないない尽くしのどん底からどうやって階段を上っていったのか。
林真理子初の人生論新書。
【読書の所要時間】 合計:20分(2回)
直木賞作家の林真理子氏。雑誌の連載エッセイをちらっと読んだり、テレビに出ている姿をちょっと見かけたくらいでした。申し訳ないのですが、フィーリングが合いそうにないと感じ、小説を読んだことはありませんでした。この本は珍しく新書です。今までとは違う読者層が手にしやすいのではないでしょうか。
いじめられていた中学時代。就職試験で40社以上の会社からすべて落とされ、アルバイトをして食いつないでいた極貧時代。容姿などで苦労していた自身の過去の履歴を明かしています。人一倍野心が強い林氏。人に意地悪されようと否定されようと凹んだりしません。「絶対負けるもんか」「今に見てろよ」と悔しい気持ちは一層強い野心へと増幅していきます。彼女のモットーは、「やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる」です。「『自分が成長していくための野心』+『その野心に見合った努力』+『自分を引き上げてくれるバネである妄想力』」で、仕事・名声・セレブ生活・結婚・出産… 無理と言われた願望をすべて叶えてきています。
「低めの安定志向に収まりがちになっている」と感じた方にお勧めしたいと思います。「ちょっとでも上を目指しなさい」「こういう人生が送りたいという野心を持ち、歯を食いしばって努力し続けなさい」と活を入れてくれます。誰もが、自分にピタッとはまる具体的な夢を持ち、コツコツとストイックに努力し、前に向かって走っている(この本でいうと「上に向かって登っている」ですね)ならば、大きな幸福感を得ることができるでしょう。
補足ですが、先日、ちょうど友人とこの本の話題になりました。林氏と同時代を謳歌した年上のその友人は、林氏を他の有名人に例えていました。
【1】「さくらももこ」氏プラスアルファで、自分の日常や経験を面白おかしく書き綴ったエッセイ。
【2】「坂上忍」氏や「杉田かおる」氏のように、わざと自分を悪ぶって演出している。
【3】「コシノジュンコ」氏のごとく前向きでエネルギッシュ。
【4】「勝間和代」氏のように常に自分を磨き、自己顕示欲が強い。
以上のように分析していました。なるほど。林氏をあまりご存じない方はご参考になさってください。(といっても例えた有名人も若い方にはピンと来ないかもしれませんね)
(おおがみインストラクター 2013年8月)