速読書評『むかし僕が死んだ家』 | SP速読学院

速読ブックレビュー・書評

寺内インストラクター書評『むかし僕が死んだ家』

むかし僕が死んだ家 (講談社) むかし僕が死んだ家 (講談社)

東野 圭吾 (著)
314ページ

「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは…。
超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。

【読書の所要時間】 1回目 1時間(精読)、2回目 30分(全体理解)

舞台は一軒の家。一組の男女が、家の中に残されたわずかな痕跡を頼りに過去の事件を解明する。そんなシンプルな設定の推理小説です。
 「ミステリー」というくくりで読むならば、それほど目新しい手法が使われている作品ではないでしょう。本文中に散らばされた伏線は、読み手の先入観を利用して上手く朧化されていますが、しかし読みなれた読者であればすぐに気付く程度のものです。そういった意味で、ミステリーに新鮮味を求める人には向かない作品かもしれません。しかし簡潔な導入部や伏線回収の上手さはさすが東野圭吾さんだなーという感じ。また、「殺人事件が起こった廃屋に二人きり」という場面設定は、ホラー作品としても読み応え十分でした。
 なにより。この作品では最後まで主人公の名前が明かされません。そしてタイトルの「むかし僕が死んだ家」の「僕」とは誰なのか。これら意図的に行われたはずの「謎の設定」こそが、真に解明するべき「ミステリー」なのかもしれません。何度も読み返したくなる一冊です。

(寺内インストラクター 2012年11月)


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