速読、記憶術の情報

トレー二ングには好きな音楽を使え

五文節以上になると、一行がかなり長くなってくる。しかし、速読をマスターした上級者なら、一目で複数文節を読むことができる。一般的な人は一文節か二文節単位で文章を読んでいるので、これだけで数倍の開きがあることになる。
初心者にとっては、文庫本の一行弱ほどの文字を一目でとらえようというのだから大変だ。文章の長さに圧倒され、「これは無理だ」と萎縮してしまう人もいるだろう。

そんなときには音楽の力を借りて、リズミカルに先へ先へと文章を読んでいくのも効果的な方法である。リズム感のあるものならどんな曲でもかまわないが、歌詞のないもののほうが気が散らなくていいだろう。 好きな曲なら気分も昂揚し、ほどよい具合に緊張感もほぐれる。自分の好きな音楽をかけながら、リズムに乗って、一行ずつ文章を理解する。リズムに追いつけなくなったら、一文節から再スタートすればよい。
音読のクセがある人ほど、音楽の力を借りてトレーニングしたほうがいい。三文節、四文節……と一行が長くなっていくにつれて、音読では文字を処理しきれなくなる。それでも根気よくトレーニングを続けていってほしい。いつの間にか自然と音読のクセが取れているのに気づくはずだ。
まずは平仮名のやさしい言葉から、音読のクセが抜ける。これまで「心の中で声に出して文章を読んでいる」感覚が、平仮名に関してはなくなるのだ。
次はカタカナ、さらに漢字、と読書スピードが向上するのにしたがって、音声変換の習慣は消える。つまり、目の水晶体が文字を映し出すスピードに、脳の処理スピードが追いついてくるのである。

元来、目が光(文字)をとらえるスピードと、脳が情報を処理するスピードの間にはギャップがある。本を読んでいるときに、(あれっ、この漢字はどう読むんだったっけ?)などと、いちいちつまずくことを考えれば、脳の情報処理スピードが目のそれに比べて劣っているのは明らかだ。
目は一度に大量の光(文字)をキャッチできるが、脳はそうはいかない。大脳の側頭葉にあるウェルニッケ中枢では、大量に届いた文字を文法どおり、順番に処理している。

たとえば、国語や英語の文法問題には、「語順がバラバラの文章を正しく並べ替えよ」という問題があるだろう。たとえ情報が順番どおりに届かなくても、脳はそれを矯正して正確に理解できる。目が情報を見たとおりにとらえるのに対し、脳は受け取った情報の意味を吟味する。その違いが両者の処理スピードのギャップにつながっているのかもしれない。
だが、そのギャップも「インターチェンジ効果」を使えば埋められる。一定期間にこれまでの数倍以上もの情報を強制的に届ければ、脳は否応なしに処理スピードをアップせざるを得ない。速読の目の動きを定着させるトレーニングは、読書スピードの向上のみならず知覚の高速化を促すうえで実に効果的といえる。

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