単語再認の自動化トレーニング

単語再認の自動化トレーニング……返り読みのくせをとる

 本を速く読むためには、目を早く動かすだけでは十分ではありません。 速読法をマスターするには《心内辞書》を引くスピードを向上させる必要があります。
 経験や学習で身につけた語彙や知識は、大脳の側頭葉に存在する心内辞書に保存されています。私たちが文章を読むとき、目で文字を追うのと同時に、脳では常に心内辞書を引きながら理解しているのです。 したがって、このスピードが遅ければ、いくら目の筋肉を鍛えたところで、読書スピードはアップしません。
 本を読んでいるとき、わからない箇所があった場合、前の段落までもどり、同じところを読み返したりします。 この文章の読み返しを《返り読み》と呼びます。心内辞書を引くのが遅い人は、返り読みをひんぱんに起こす人なのです。
 この返り読みが起きる原因には、以下の三つが考えられるでしょう。

1 集中力不足

 集中力が不足してくると目は文字を追っているのですが、内容が頭の中に入ってこない状態になってきます。 いったい自分はどのくらいの時間集中して本を読めるのか、計ってみるのもいいでしょう。 速読法の訓練によって、五倍から十倍のスピードに達した場合、集中できる時間が変わらないにしても、 結果的に五倍から十倍の量を読むことができることになるので、その分集中力が向上したと言えるでしょう。

2 知識不足

 文章を読んでいる途中でわからない単語にぶつかると、辞書を引きます。 その後続きを読もうとしても、意味がつながらないことがよくあります。 これは、辞書を引いている間に思考の中断が起こり、前に読んだ文章の記憶が薄れてしまうことによって起こるのです。 つまり辞書の意味がすぐにわかれば、文章の意味もつながってくるでしょう。

3 心内辞書の出力不足

 文章を読んでいる途中で単語の意味を思い出すのに時間がかかっていると、思考の中断により前の文章の記憶が薄れ、意味がつながらなくなります。 心内辞書にある記憶をすぐに引き出せるように訓練すると、返り読みのくせがなくなり、文章理解力が高まります。
 心内辞書を引くスピードはワーキング・メモリによって左右されます(目や耳を通じて脳に届いた言葉を意味のあるものとして変換するのがワーキング・メモリの役割です)。 この能力の劣る人は脳内で言葉を変換するのが遅く、しょっちゅう返り読みばかりして、読書を停滞させてしまいます。
 そこで、心内辞書を引く、ひいてはワーキング・メモリを鍛える訓練が必要となるのです。

 

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