速読書評『The Art of Choosing』

林インストラクター書評『The Art of Choosing』(英書)

The Art of Choosing(Grand Central Publishing) The Art of Choosing(Grand Central Publishing) (英書)

Sheena Iyengar (著)
384ページ

選択肢は多ければ多いほどよい、そう考えているあなたは間違っています。
実は人間はあまりに選択肢が多いと逆に「選択」ができなくなる。
20年以上に渡る広範な実験と研究によって、あなたの「選択」に関する疑問に答えます。

【読書の所要時間】 4時間(精読~熟読で1回)

先日、ふと電車で見つけたあるポスター。 インド人らしき女の子がカラフルな民族衣装に身を包んでいる写真をバックに、「彼女は14歳。親の決めた相手と結婚し、子供を産み、一生自由を経験しない。」そんな内容のキャッチコピー。「世界の女性に権利を」みたいな団体のポスターだが、果たして自分の人生に選択肢の無いその女の子の人生は必ずしも不幸なのか? 疑問に思っていたときに、”The Art of Choosing” に出会った。
 人間には、他の動物に比べはるかに多くの「選択肢」がある。表紙のようにりんごかオレンジなどのシンプルなものからもっと複雑な事まで、私たちは毎日のようになにかしら「選んでいる」のではないだろうか。しかし、選択肢が多い事、選択の自由、そもそも選択肢があることは必ず幸せなことなのか?

 心理学者であり、米コロンビア大学ビジネススクールの教授である著者は数々の心理学的実験の解説を交えながら研究成果に基づき、その答えを解き明かしてくれる。そんな本書のなかでは選択に対する考えに多大な影響を与えるとされる文化の違いに頻繁に言及しているが、集産主義文化の代表格のような日本人の話しは多く登場するのでその辺りも興味深い。

 著者は決して押し付けがましくなく、一つのアイディアとして、「結局のところ選択肢の少なすぎと多すぎの中間点がベストで、そのつど状況や文化的なバックグラウンドによって人の価値観は変わりますよ」と教えてくれる。日本企業の公用語が英語になったり、日本と他国との交流の機会が増えているいま、日本以外の国で生まれ育った人たちの価値観を理解し、仕事の生産性などにも役立たせられる知識をこの本は与えてくれる。

(林インストラクター 2012年12月)


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