速読ブックレビュー・書評

大林インストラクター書評『キアズマ』

キアズマ (新潮社) キアズマ (新潮社)

近藤 史恵 (著)
301ページ

1年間限定で自転車部に所属することになった正樹。走る喜びと恐怖の間で葛藤しながらも、レースに挑んでいく。走ることが祈ることであるかのように…。「サクリファイス」シリーズ最新長編、新たな舞台は大学自転車部。 “元気のでるノンフィクション”。

【読書の所要時間】 1時間 (精読で1回)

今回読んだのはサイクルロードレースについての小説「キアズマ」です。競輪はよく知られていますが、同じく自転車を使った競技であるロードレースの知名度は日本に於いてあまり高くないと思います。近年ファッションでロードに乗る方が増え、街中でもロードを見ることが増えましたし、大阪の市街地でも集団で先頭交代しながら走っている方々を見かけることがたまにあります。しかしながら、プロのレースを見たことがある方は非常に少ないのではないでしょうか。
 大学に入学し、ふとしたきっかけから自転車部に入部することになった岸田。彼もサイクルロードレースについて詳しくありませんでした。そんな彼がどんどん自転車の面白さにハマっていくお話しです。
 正直、愛好者以外がロードレースを見ない理由は挙げればきりがないと思います。先ず長い。そしていつ盛り上がるか分かりづらい。レースのルール以外にも暗黙の了解などがあり、それをある程度知っている上で見るとすごく楽しいのですが、知らない方にすればただ集団で自転車こいでるだけに見えると思います。
 ロードはママチャリと異なる点が沢山あります。先ずありえない程軽いです。軽量化の為にカーボンなど様々な素材が使用されています。そして競輪と同じようにペダルとシューズをくっつけて走るため、蹴るだけではなく引く動作でも推進力を得ることが可能です。乗ってみると分かるのですが、簡単にスピードが出ます。そのため空気抵抗をいかに減らすかは重要なポイントです。先頭で走っている人が一番空気を受け疲れやすいので、複数人で走るときは先頭を交代するのが鉄則です。その中でも最後まで体力を温存するのがエース。他の団体競技と異なり、自転車ではこのエースの存在が絶対です。エース以外のメンバーはこの人を勝たせるために走ります。そういった完全分業制の団体スポーツ故に、チーム内には仕事を確りしたとしてもファンが付きにくい選手がいるのも事実でしょう。
 日本ではまだ知名度の低い競技を題材としているため、前提知識があった方が楽しめると思います。しかしロードに乗ったことがある方には爽快に読み進められ、気づいたころには読み終わっているような作品です。少し厳しい言い方をすると、レースのシーンがあっさりし過ぎていて、ケーブルテレビでレースの放送をじっくり見る方には物足りないと思います。
そしてこの本を読んだら、ロードに乗ってみたくなると思います。少し割高でしょうが、乗った際の驚きや感動、楽しみなどはママチャリの比ではありません。是非試してみてください。作者の近藤史恵さんは他にもサイクルロードレースの小説を書いているので、それらを読んでみるのも面白いと思います。ちなみに、今年のツール・ド・フランスは100回記念大会の様ですね。日本でもJSPORTSでサイクルロードレースを見れるので是非!!!

(大林インストラクター 2012年5月)


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