速読書評『64』

土居インストラクター書評『64』

64(ロクヨン) (文藝春秋) 64(ロクヨン) (文藝春秋)

横山 秀夫 (著)
647ページ

昭和64年に起きたD県警史上最悪の誘拐殺害事件を巡り、刑事部と警務部が全面戦争に突入。広報・三上は己の真を問われる。
警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。

【読書の所要時間】 1時間20分(熟読で1回)

まずこの本はとても重たい(物理的に)。そして中身も相当重たい=濃厚である。
 著者の作品を読んだのは今回初めてだったのだが、相当書きたい事、伝えたい事があったのだなとひしひしと伝わってくる作品だ。
 読後は本当に考えさせられる。まずはどこまでがフィクションでどこからがノンフィクションなのか。今まで自分が信じてきた情報は果たして真実だろうか。巨大組織は一体どこまで信ずるに値するのか。合理的に生きることが本当の幸せなのか。
 本書テーマは警察内部の「刑事部」と「刑務部」の全面戦争、14年前に起こったD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人未解決事件、被告の実名報道をめぐる警察と記者の対立、主人公の広報官・三上が家庭内問題を抱えながら警察という巨大組織の中でどうやって個人として生きてゆくのか… だろうか。
 非常に複雑に伏線同士が絡み合っている印象を受けた。一言で表現すると非常に土臭い作品であり笑える要素がどこにもない。しかし切実に苦しいながらも精一杯生きている人間ばかりが目立つ。
 基本的に物語は主人公の三上の心理描写に沿って進んでゆく。くどいと思う読者もいるかもしれないが、私は読んでいてグイグイ引き込まれた。年も立場も全く異なるにも関わらず、まるで自分の内部に三上が存在するようだった。憤り、悲しみ、戦慄、疑心… 日常生活ではあまり感じるのことのない感情がストーリーが展開するにつれ湧き出てくるのは本当に久しぶりであった。三上の心の葛藤がこれでもかというぐらい表現されている。
 最終的に結末はあまり救われるような内容ではないのだが… 三上の生き方から組織の中にいる1人の人間としてどう生きるべきかを教えられた。
 自分の人生これでいいのかと迷っている人、オーソドックスなビジネス書に飽き飽きしている人にお勧めの1冊だと思う。

(土居インストラクター 2013年4月)


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