速読書評『楽園のカンヴァス』

矢成インストラクター書評『楽園のカンヴァス』

楽園のカンヴァス (新潮社) 楽園のカンヴァス (新潮社)

原田 マハ (著)
294ページ

大富豪の屋敷に掛かる一枚の絵。
その真贋判定を迫られた若き二人の研究者。
期限は七日間――絵画の「本当の価値」に迫る傑作アートサスペンス!

【読書の所要時間】 1時間(熟読で1回)

西洋美術コレクションで有名な大原美術館の一監視員として働く早川織絵のもとに、とある新聞社から来客が訪れる。本書の表紙にもなっている『夢』という作品を描いたアンリ・ルソーの大規模な展覧会の企画中で、その為にどうしても織絵に力を貸してほしいとお願いにやってきたのだ。この早川織絵という女性には 謎が多く、現在は母親のもとで娘と3人で生活しているのだが、かつてはパリで暮らしていたことがあり、それが突然娘一人を連れて日本に帰国してきた。どう して娘だけを連れて帰ったのか、夫は誰なのか。アンリ・ルソー展という企画がきっかけとなりパンドラの箱は開かれる。
  かつて織絵がパリに住んでいた頃、彼女はソルボンヌ大学の美術の博士号を若くして取得し、美術界でオリエ・ハヤカワとしてその名を知られていた。同じ頃、 ニューヨーク近代美術館(MoMA)のアシスタント・キュレーターとして働いていたティム・ブラウン。この若い二人のもとにアンリ・ルソーのある名作の真 贋を調査してほしいという依頼が舞い込んでくる。依頼者のコンラート・J・バトラー氏は伝説のコレクターとして知られており、調査依頼をしてきた作品も長い間探し求め、やっとのことで闇マーケットで発見したもの。しかしこの名作というのはMoMAが所有している『夢』の構図とそっくりなのである。そしてこ の『夢』という作品はルソー最晩年の大作であり、キャンバスや絵の具を買うお金もないほどに貧しい生活をしていたルソーには同じような作品を描く余裕など なかったはず……。真贋の調査依頼をしてきたコンラート・J・バトラー氏は二人に真贋の判断をする材料として謎の古書を持ち出し、それを一日一章、七日間に 渡って読み進め、読み終えてから真贋を見極めてほしいとお願いしてきた。
 過去と現在の時計の針が同時にまわり始め、バラバラの思い出の断片を寄せ集めながら物語は次々と展開していく。美術をめぐる人々の私利私欲に押しつぶされそうになりながらも、織絵とティムはルソーの生きた時代に思いを馳せながらその謎とともに現在に近づいていく。

(矢成インストラクター 2012年12月)


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