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単語再認の自動化

 語彙アクセスの過程で、「心内辞書」に保存された知識をほとんど無意識的に速く、正確にアウトプットをすることができます。
 SP式では「新聞の読み方」(岩波ジュニア新書)や「憲法」(岩波書店)「民法」(東京大学出版会)などの本のキーワードをパソコン画面に順番に表示し、本を読んだ生徒は、一瞬に単語再認を行なう訓練を取り入れています。これは、長期記憶へのインプットとアウトプットのトレーニングにあたります。
正確にしっかりと読んでいれば、知識は確実にインプットされ、記憶されていきます。インプット(記憶)の段階は、精読や熟読の読み方でしっかりと読む必要があります。
 全体理解の大雑把な読み方や、集中力の欠けた漫然とした読み方では、インプットは弱く、不十分となります。

 長期記憶に保存された知識は、瞬時に検索して活用できます。
東大医学部の宮下教授は、記憶の検索工程が、前頭葉の思考の部分からアクセスして側頭葉の記憶の部分から瞬時に引き出されている、という事実をサルを使った実験で突き止め、世界的に注目されました。教授は、次のように言っておられます。

  「人間の記憶検索の能力は、コンピューターの記憶検索の能力よりも直感的部分で優れている」 (朝日新聞)

 人間のアウトプット能力は、非常に優れています。
 わずか0.2秒でパソコン画面に写し出される単語群を1個からスタートして、上級者レベルでは24個も同時に思い出せるようになります。1秒間で約100個の単語を思い出すわけですから、速読訓練してみて指導者の私も正直いって驚いています。そこで、速読上級者は24個では足りないので、60個レベルの訓練を取り入れることを計画中です。

 さて、単語再認の自動化をタッチ・タイピングの人に喩えることができますが、彼らは文字を見ると、ほとんど反射的に手が動いています。わずか1週問~1ヵ月訓練してタッチ・タイピングの技能を習得し、手はほとんど無意識的に動いているので、読解に思考を集中させることができます。
アナウンサーはニュースの原稿を見ると、ほとんど自動的に(臨時ニュースの殴り書き原稿を渡された場合を除いて)すらすらと言葉が出てきます。アナウンサーは、話し方教室などで発音や一定レペルのスピードで原稿を読むことを訓練されて、できるようになりました。同時通訳の人は外国語を聞いて、反射的に日本語に訳します。この場合も、ただ外国語が分かるだけでなく、速<正確に訳することが必要です。日常会話で言葉がすらすら出てくる人や、講義を聞きながら文字をすらすら書いている人は、言語処理の自動化が起こっています。
 このように、単語再認は正確さよりも速さが大事であるといえるでしょう。

 次の図は、短期記憶の保持時間の実験で「ブラウン・ピーターソン・パラダイム」と言われます。

l02.gif(4562 byte)
 文脈を捉えながら読んでいる時に、思考を妨害する課題を与えると、短期記憶の保持時問がどのように変化するかという実験です。図では、わずか3秒で50%、10秒で90%の記憶が失われています。思考の中断後の短期記憶はわずか15秒でほとんど消失してしまうのです。このように、私たちが文章を読んでいる時には、単語知識を検索するために思考の中断が起こります。思考の中断が長いと、単語の意味が思い出された時は、続きを読んでも文脈がつながらなくなり、もう1度、前の形式段落の初めから返り読みをする必要が出てきます。
 皆さんが読書中に電話がかかってきたとき、通話後には本の内容を思い出せなくなる状態に陥るでしょう。それと同じです。

 単語再認の自動化が起こると、返り読みの癖は、ほとんどなくなります。SP式単語再認トレーニングは単語再認の自動化を起こす訓練です。「新聞の読み方」では新聞や教養書レベルで自動化を起こすことを目的としています。教科書の用語の自動化を起こすと、教科書の読解が容易になります。
 専門用語で単語再認の自動化を起こすと、専門書がすらすら読めるようになります。
 
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