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1冊30分 読書感想文『「真実の15秒」で個客をつかむ』

30分で読破した後のレポート

受講生 田沢大地さんによる読書レポートです。
本を見るのは最初の30分のみ(速読)。その後、本を一切見ずに作成した感想文です。

『「真実の15秒」で個客をつかむ』 浦郷 義郎 著 243ページ

 本書で著者は、現代の日本企業には「ホスピタリティ」が欠けていると指摘し、ホスピタリティ精神をもってしてこそ、企業そして日本の未来は切り開かれると主張する。
 まず、本書の中心的なテーマであるホスピタリティとは何か。一般的にそれは客に対する「おもてなし」、くらいの意味で捉えられがちだが、よく知られる「サービス」という概念とは性質を異にするものだという。サービスとは Servant(召使い) を語源とする言葉で、主従関係、すなわちタテの関係において、対価を前提にして行われる行為を指す。一方、ホスピタリティとはラテン語の Hospics(客人等の保護)を語源とし、見返りを求めない、ヨコの関係における行為をさすのだという。それゆえ、ホスピタリティに重要なのは対価ではなく、「思いやり」や「心」といった情緒的なものなのだ。
 また著者は,ホスピタリティを語る上で重要なものとして、「個客」という概念を挙げる。本来、客とは一人一人が別個な存在であり、そこには多種多様なニーズが存在する。「顧客」という、客をひとくくりで、単なる取引相手・契約者とみなす従来のスタンスでは、こうしたニーズを満たすことは不可能である。そこで著者は、企業は客を「顧客」ではなく「個客」としてとらえ、それぞれの客に質の高いホスピタリティを提供すべき、とするのだ。
 こうした考えのもと、具体的なホスピタリティの実践とはいかなるものか、海外の有名ホテルや航空会社などが例に挙げられ説明されていく。― その内容の一部を具体的に書くべきなのだが、忘れてしまった……!― どこの企業であれ、個客にホスピタリティを実践しようとするならば、「真実の瞬間」を逃してはならない。「真実の瞬間」とは聞きなれない言葉であるが、(特に海外の)サービス業においては広く知られている言葉だそうだ。これは、「従業員が最初に個客に接する瞬間」のことである。人は物事の全ての過程よりも、主に最初に接した際の印象をもとに、それに対するイメージを形成する。この15秒程度のわずかな時間、つまり「真実の15秒」においての個客へ接し方で企業の価値が判断されるのだ。
 旧態依然とした日本企業にはこうした心構えが欠けていると、著者は自身の体験も織り交ぜながら批判する。著者からすれば、銀行において昼休みの時間であっても、社員の休憩のため窓口を減らし客を待たせるなど、ホスピタリティに欠ける行為なのだそうだ。これは些細ななことのように思われるが、こうした真実の瞬間における対応が、個客の抱く企業イメージに大きく影響するのだ。個客ではなく、そこから得られる金銭のみに目を向けた利益至上主義の企業は、これから生き残ることは出来ない。数え切れないほどの企業が競争を繰り広げ、成長して行く現代社会にとって、個客に提供できる目新しさや希少性というものは減少する一方である。そうした中で企業が差をつけられるものは、個客に対する思いやり、つまりホスピタリティしかないのだ。そして、日本企業がそれを習得することは難しいものではない。古来より、日本人は「おもてなし」の精神を持っているはずだ。「一期一会」なんていう言葉は、まさに「真実の瞬間」である。我々日本人、日本企業もホスピタリティ精神を身に付けることは十分可能であろう。

 ※「ホスピタリティ」とは何かを語る上で、前述したように、「サービス」との違いを認識することが重要なのだが、具体的な内容を忘れてしまったためここに書くことが出来ない。しかし実際のところ、私自身本書を読んでも、ホスピタリティとサービスの実践的意味での違いを理解することができなかった。「心構え」の段階では、「思いやり」から成り立つホスピタリティと、「対価」を前提にするサービスとの違いが理解しやすい。しかしそれを具体的行為に移した際、ホスピタリティも、我々が一般に「サービス」として認識する行為として現れるように思われる。
 その他、「個客に価値を与える」や「従業員を大切にすることの意義」といった、重要なポイントも述べられていたが、勝手ながら私の時間の都合上割愛する。
 最後に、本書は企業向けの内容であるが、消費者に対する個人的意見を付け加える。
企業の立場からすれば、本書の主張が有益なものであることは間違いない。しかしそれが、消費者である我々がホスピタリティを当然のことと考え、企業に過大な要求を押し付けることを正当化するわけではない。「お客様は神様」という言葉は有名だが、これは本来企業側の心構えである。昨今、消費者がこの言葉を振りかざし、いわゆるモンスタークレーマーとして常識外れともいえる行動をとっている。本書で述べられているホスピタリティは、先ほどみたように「思いやり」であり、結局は(利益ではなく)人と人との心のつながりを重視する企業姿勢なのである。「思いやり」を受け取る消費者が尊大にそれを踏みにじるならば、このホスピタリティ志向の企業と消費者の関係は崩れ去ることに注意しなければならない。市場で実際に触れ合うのは、企業と消費者ではなく、人と人であり、それは一定の互いの尊重を前提にした関係である。
 ところで、巻末に掲載の著者の経歴を見る限り、彼はこれまでずっと大学に身を置いているようである。常に消費者の立場にいる者が、企業の経営・精神についてとやかく言うのを聞くと、消費者のみの目線で勝手なことを言っている気がしないこともない。少しジャンルは違うが、私の大学の教授は次のように述べていた。(裁判官、弁護士、検察官等様々な法律家について語る中で)「裁判官は社会に出ていないから、世間を知らないという批判がある。しかし裁判官はまだマシな方だ。一番世間を知らないのは、大学にこもっている学者である。」一度企業で成功した人が、私はこうして成功した、と説くのならば一番説得力がありそうだ。まあ本書にもあったが、大学教授も学生を客にしたサービス業と言えるかもしれないが。
(2,446文字)

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