速読記憶術 読書感想文『女性の品格』 | SP速読学院

30分で読破した後のレポート

受講生 田沢大地さんによる読書レポートです。
本を見るのは最初の30分のみ(速読)。その後、本を一切見ずに作成した感想文です。

『女性の品格』 坂東 眞理子 著 225ページ

 この本の前書きでは、安部元首相の『国家の品格』が挙げられ、そこから、では「女性の品格」とはいかなるものか、と続く。マナーや人付き合い、人生の生き方まで、著者の考える「品格のある」女性像が具体的に提案されている。内容はどれも「品格」を感じられるもので、うむ、確かにこんな女性がいたら素晴らしいなぁ、と思わせるものであった。しかしそれらは、(みなが出来ているかは別として)誰もが知っている、社会常識的な望ましい人のあり方では、と感じるものが多い。私にとって特に目新しいものでは無かった。そうなると問題となるのが、この本の意義である。前書きや後書きでは、先ほど述べた『国家の品格』が引き合いに出されたり、女性の社会進出が進みうんぬん、などとたいそうなことが書かれており、著者の意図を意識し本文を読み始めた私個人としては、実に拍子抜けしてしまう内容であったと言わざるを得ない。『女性の品格』という少しお堅いタイトルからも(「元始、女性は実に太陽であった……」といった平塚らいてうの名文なんかも思い浮かべながら)女性の存在を問い直す思想的、評論的な内容が来るのかと身構えていたのだが、それは期待しすぎであったようだ。この本の具体的、実際的な内容を見ると、これは単なるマナー本か自己啓発本であった。いや、勝手に勘違いした私が悪いのだが。

 読書後の全体的なイメージはこれくらいにして、男の私も印象に残った点を数点あげる。

・「正しい言葉使いをしよう」
人前では正しい言葉使いをしなさい! というのは当然のことであるが、著者は会社や店といった場だけではなく、親しい間柄同士でもそうするべきだ、という。家族や友達とぐらいは、気楽にラフな言葉遣いで会話してしまいがちだが、著者いわく「相手が誰であれ、第三者に通じる言葉を話そう」だそうだ。この本では他にも、人前での行為だけではなく、一人でいるときの望ましい振る舞いについても述べられている。人の見ていない場所あるいはインフォーマルな場所においても気を抜かないことが、どんな分野にしろ自己を高めるというのは、共感できるものである。

・「古典を読もう」
著者いわく、品格のある女性は古典を読むそうだ。このよくわからない理論には失笑であり、元官僚だという著者のインテリ自慢のようなものが鼻につく気もするが、まあ古典を読むことは重要である。先人たちの偉大で美しい知恵や表現を学び、教養ある人間にならねば…… と学生の私としては強く感じる。

・「本の一節を記憶しよう」
上の「古典を読もう」などといった話に続き、これが出てきた。印象に残った文章はぜひ覚えておこう、というのだ。これは私も以前から強く意識しているものである。全体的にみて素晴らしい本であれ無価値な本であれ、どんな本でも必ず「おっ」と思う部分が少しはあるものである。印象深い一節が、新なアイディアにつながったり、時には人生の指針となるかもしれない。気になるフレーズや味わい深いフレーズはぜひ記憶に留めて、今後の生活を豊かにするために利用していきたいものだ。この本でその一節はどこかと言えば、この「本の一節を記憶しよう」である。

 マナーや人付き合いの仕方など、私にも参考になるものも多かったが、「それがなぜ品格につながるのか? 著者の勝手なイメージでは?」と感じる、説得力に欠ける主張もいくつかみられた。まあ所詮、品格という言葉自体、曖昧で主観的なものでしかないが。個人的に大きな疑問点は、官僚や大学の学長など、知識教養をうかがわせる華々しい経歴の持ち主である著者が、なぜこんな中身の薄い俗っぽい本を書いたのか、そしてなぜこの本がベストセラーとなったかである。いや、軽く読む分にはいいが、そんなたいした本では…… というのが私の感想である。
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