1冊30分 読書感想文「全脳型勉強法のすすめ」

30分で読破した後のレポート

受講生 田沢大地さんによる読書レポートです。
本を見るのは最初の30分のみ(速読)。その後、本を一切見ずに作成した感想文です。

『全脳型勉強法のすすめ』 品川 嘉也 著 188ページ

 この本では、脳生理学の専門家である著者が、脳や神経の働きを確認しながら、専門的な知見に基づいて効率的な学習とは何かを説いている。この本において著者は、学習における「わかる」とは「イメージ的にわかる」ということだ、と主張している。イメージというと、頭に思い浮かぶ視覚的なものを想像する。しかしここでいう「イメージ的にわかる」とは、全身のあらゆる感覚が統合され、ある瞬間に、わかる以前の自分とはまったく違う自分になる、自分が何かになる、ということらしい。著者は昨今の学歴偏重社会や、それに対応するための無意味な受験勉強を批判し、日本人の真の意味での「学力」低下を憂えるが、これは日本人が「イメージ的にわかる」学習をしていないことが大きな要因であるとする。
 現代の日本の若者は、丸暗記することや公式を使うことは得意であり、(見かけ上は)学力優秀である。それは本書に紹介されているアメリカの学生と日本の学生に対する調査でも示されている。数学の文章題を両者に解かせたところ、日本人の方がアメリカ人よりも正答率が高かったそうだ。しかし、日本人とアメリカ人とでは、問題に対するアプローチが違うのだという。日本人は、学校で覚えた公式や問題のパターンを利用し、機械的にすばやく文章題を処理することが出来る。一方、アメリカ人は数学の文章題をみると、まず文章題の中の数字を自分のイメージに合わせて新たに作り直してから問題に取り組むのだそうだ。結果だけみれば日本の学生の方が優秀だと言えるのだが、「イメージ」することは省く今の日本人の学習方法からは、創造性は決して生まれないと著者は主張する。日々受験のプレッシャーのもとで、「こういうときはこの公式を使え」と解き方を丸暗記させられている日本人は、いざ見慣れない問題に出くわすとまったく対処できなくなる。対処する道具は持っているが、主体的な使い方がわからないのだ。算数を覚えたての小学生なんかは、算数の文章題をみて「足し算・引き算・掛け算・割り算のどれを使えばいいか教えてくれたら解けるよ」などと言うそうだ。こうした発言の中に、現代の日本の教育制度が抱える問題が顕著に現れている。  数学の次は、英語を例にとって見てみよう。ある調査で、日本人とタイ人に「これは本ですか?」という文章を英訳するよう求めた。日本人は「これは本です。が This is a book. だから疑問文なら Is this a book? だ」と文法的なプロセスを経て答えを導き出すが、タイ人は「これは本ですか? → Is this a book?」と直接答えを導き出すそうだ。ここにも日本人の「イメージ」が欠如した学習方法を見て取ることができる。著者いわく「言語はまず音である」。文法やスペルなどが先行するのではない。タイ人は、「これは本ですか?」という文章を「Is this a book?」という英語の音声イメージと直結させている。ゆえに一瞬で口から答えが出てくるのだ。日本人はというと、英語を習い始める時まず最初に「これが主語で、これがBe動詞で……」と文法的な説明から教えられる。日本語の文法さえ完璧ではない年齢の子供たちに、新しい言語の文法など教えても、通じるはずがないのだ。単語レベルでさえ、bookと聞いた時に「本のイメージ」が思い浮かぶのではなく「b o o k」とういうつづりが頭に出てくるようでは、いつまでたっても英語を扱えるようにはならない。
 現代の日本教育は、このように「イメージする」ことをないがしろにし、知識や公式を詰め込むことに終始してきた。イメージを伴う「わかった」という感覚がないからこそ、勉強嫌いの子供も増えるいっぽうなのである。一方で、いや、日本人は直感的な部分には弱くとも、論理的な思考には優れている、と主張するものもいるかもしれない。しかし著者からすれば、論理的思考とは創造性のかけらもないものだという。論理とはすなわち「=」の連続である。「X」をいくら変形させ「=」で結ぶことができたとしても、結局は「X=……=X」なのである。そこに新しいものは発生しない。 より効率的で創造的な学習、そして「わかる」という喜びを伴った学習をするために、イメージは必要不可欠なのである。今や広く知られていることであるが、論理や言語は左脳で、直観やイメージは右脳が司っている。「イメージ的にわかる」学びかた、左脳に加えてこれからは右脳も用いた学習方法が求められているのだ。すなわちそれこそが、この本のタイトルでもある『全脳型勉強法のすすめ』なのである。
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